COLUMN
2022年09月29日
イノベーションの実現に欠かせないビジネス要素とは
カテゴリー:テクノロジー, ビジネス, 新規事業開発
タグ:DX, イノベーション
一般的にイノベーションは「技術革新」と翻訳されます。しかし、イノベーションには「新たな仕組みの創出」という意味も含まれており、実は広い意味を持つ言葉です。ここでは、イノベーションの種類と、ビジネスにイノベーションを生み出すきっかけについて解説します。
イノベーションは技術革新だけではない
まず、イノベーションの定義を確認しておきましょう。
一般的にイノベーションは、次のように分類することができます。
シュンペーターの定義するイノベーション
イノベーションという概念の生みの親とも呼ばれるヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションを下記5つの種類に分類しています。
- プロダクトイノベーション
革新性を持つ製品やサービスの開発によって引き起こされるイノベーションです。一般的にイノベーションといえば、プロダクトイノベーションを指すことが多いでしょう。
- プロセスイノベーション
製造プロセスに対するイノベーションで、製造・販売・在庫管理の連動によるPSI計画などが該当します。
- マーケットイノベーション
新規市場の開拓によるイノベーションです。従来であればビジネスとして成立すると考えられていなかった領域に商機を見出し、新しい市場として成立させることを指します。日本企業の課題とされるDX(デジタル・トランスフォーメーション)も本来はデジタル技術を活用したマーケットイノベーションと言えるでしょう。
- サプライチェーンイノベーション
原材料の調達や販売店への配送といったサプライチェーンに対する改革で生まれるイノベーションです。一般的には「原材料の供給ルートの開拓」をいう文脈で用いられる事が多いようです。
一方で、「偶然手に入れた原材料から新しい製品を開発すること」もサプライチェーンイノベーションの一種であると考えられています。
- 組織イノベーション
新しい組織体制の確立から起こるイノベーションです。社内ベンチャーの立ち上げや他企業との協業が例として挙げられます。
ドラッカーの定義
マネジメント理論の大家として知られるP・F・ドラッカー氏は、イノベーションについても多くの言葉を残しています。ドラッカー氏によれば、イノベーションとは「資源に富を創出する能力を与えること」であるとのことです。
また、イノベーションを生み出すためには、まず「仕事の廃棄」を進め、次に新しい決定を行い、イノベーションの機会を開拓することが大切だと述べています。
さらに、イノベーションは技術的なものにとどまらず、社会的な仕組みを新たに生み出すことでも達成されるとしています。
クリステンセンの定義
クレイトン・クリステンセン氏は、「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」という2種類のイノベーションを提唱しています。破壊的イノベーションとは、それまでメジャーな市場で注目されていなかった技術が新しい価値観のもとで再評価され、既存の技術を脅かす存在になることです。一方で持続的イノベーションは、再評価された技術が既存の技術と共存し、正当に進化していくことだと述べています。大企業が持続的イノベーションしか生み出せずベンチャー企業などの破壊的イノベーションに駆逐されていく様子を「イノベーションのジレンマ」で描き出しています。
ビジネスの成長に欠かせないイノベーションとは
日本では、イノベーションといえば「プロダクトイノベーション」を指すことが多いかもしれません。
しかしプロダクトイノベーションは、製品開発力や技術革新のためのリソースが無ければ成立が難しいものです。
したがって、ある程度の資本力が必要になります。
これに対してプロセスイノベーションや組織イノベーションは、「今あるものを最大限活用する」という視点で進められます。業務工程を変えたり、事業部門の再編成を行ったりして、新しい付加価値を生み出していくのです。巨大な資本や圧倒的な技術力を持たない企業にとっては、プロセスイノベーションや組織イノベーションによるビジネスの刷新が適しているかもしれません。
組織とビジネスモデルを変える「社会的イノベーション」
また、ドラッカー氏が自著「イノベーションと企業家精神」の中で述べている「社会的イノベーション」にも注目したいところです。ドラッカー氏は、「イノベーションとはモノに関するものとは限らない。仕組みや組織もイノベーションの対象である。」としています。
この考え方を企業に当てはめると、組織体制、組織運用、ビジネスモデルの改革もイノベーションのひとつだと考えることができるでしょう。もちろん、社会的イノベーションを達成するには、技術的な土台が必要になることもあります。しかし、技術的な土台については、SaaSや他企業が提供するサービスを用いることで解決できることも多いのです。
社内のイノベーションを後押し要因とは?
では、こうしたイノベーションを引き起こすためには何が必要なのでしょうか。
前述のようにイノベーションの定義は複数あり、そのための手法もいろいろと提案されてきています。しかし、確実にイノベーションを実現できる手法があれば、誰でもイノベーションが可能になるはずです。
多くのイノベーション手法を見ていくと、「小さな変化を見つける」「強制的に起こす」という点が共通しているようです。例えばドラッカー氏は、イノベーションを引き起こすきっかけとして「7つの機会」があると述べています。
– 予期せぬ成功や失敗を探す
– ギャップを探す
– ニーズを知る
– 産業構造の変化を知る
– 人工構造の変化を知る
– 意識の変化を知る
– 発明発見をする
これらは、どれも小さな変化をきっかけにしています。
また、近年イノベーションとして注目を集めている「オープンイノベーション」は、異業種・異分野の技術・アイデアを積極的に取り入れる方法論です。社内視点のみのイノベーション(クローズドイノベーション)よりも多くの知見・視点が得られ、イノベーションを起こしやすくなるという強みがあります。こちらも、異業種・異分野との結びつきによって小さな変化を強制的に起こすことが狙いのひとつになっています。
さらにデザイン思考についても同じような意図が読み取れます。デザイン思考は建築家やデザイナーの思考プロセスを取り入れた創造的な問題解決手法です。小さな兆しを捉えて、多様なアイデアでトライ&エラーを繰り返し、変化を育てていきます。
このように、小さな変化を見つける・強制的に起こすことは、イノベーションのきっかけになりうるのです。
技術的な制約を解消するきっかけとなるBaaS
小さな変化は、本業とは全く別の領域から起こることもあります。例えば、ある領域での技術革新が、別の領域の技術的な成約を解消し、イノベーションのきっかけになることもあるわけです。
弊社が提供しているBaaS「Hexabase」も、システム開発のスピードやコストなどの制約を解消できるため、イノベーションのきっかけになると考えています。
BaaSとは「Backend as a Service」の略称で、システムのバックエンド機能を提供するクラウドサービスを指す言葉です。もし、小さな変化を起こすべき部分が「バックエンド機能の開発・運用」や「社内システムの構築・運用」に関するものである場合には、Hexabaseによって解決できる可能性があります。
まとめ
今回はイノベーションの定義と、ビジネスにイノベーションをもたらす要因について解説してきました。イノベーションは技術革新だけに限らず、組織運営やビジネスモデルといった「仕組み」にも適用されるものです。社内の仕組みを変えるためには、何らかの小さな変化を起こすきっかけが必要です。BaaSはその「きっかけ」として活用できるかもしれません。ビジネスにイノベーションをもたらすために、BaaSを含めたクラウドサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。