COLUMN
2020年06月15日
白山工業株式会社 – 在庫・発注管理ソリューション
カテゴリー:導入事例
タグ:case-study
企業概要
- 白山工業株式会社
- 住所:東京都町田市鶴間
- 事業:公共エクステリアを中心とした金属製品の製造・加工
- 創業:1956年4月 設立:1965年1月
- 従業員:29名
一人工で2時間の工数削減を見込む
アルミ製のエクステリア建材を製造・加工する白山工業株式会社。公共施設や公園・道路・河川などに設置するフェンスや手すり・門扉などの加工を手掛ける、従業員が30名ほどの典型的な町工場だ。
これまでは、リクシルなどの大手建材メーカーとのビジネスが90%以上を占めてきたが、公共施設の受注が年度末に2-4倍と膨れ上がるなど課題を抱えていた。これからの成長に向けて、業務環境を整えるため、若手社員を中心にさまざまな取り組みを行っている。
その中のひとつとして進めているのが、エンタープライズBaaS「Hexabase」を活用した在庫管理・発注支援システムである。従来、事務所と現場で2重管理になっていた部品在庫の管理をクラウド型データベースに集約して、モバイルでも操作できるようにする。在庫が発注点を下回れば、自動的に発注処理を行って、最小限の確認をするだけでスタッフは部品を補充できる。
このシステムの導入で、一人工で2時間の工数削減を見込んでいる。
さらに今後は、3-5年かけて、受注管理・見積り管理・顧客管理・生産管理といった基幹業務のシステム化を進めて、業務の効率化を図っていきたい考えだ。柔軟なシステム化が可能で、利用量に合わせて低コストでスモールスタートできるHexabaseならではの利用方法と言えるだろう。
中小企業ならではの課題を解消するため、新たな取り組みを進める
今回のシステム化について、白山工業株式会社の取締役経営企画部長である澤田大樹氏が詳しく説明してくれた。
「 当社が手掛ける製品で一番多いものは、アルミ製の公共エクステリア製品です。公共施設の外側にあるフェンスや手すり・門扉などですね。私ども以外にも建材製品を加工する中小規模の町工場はたくさんありますが、ITの活用はかなり遅れている業界だと思います。今後、いかにITを活用するかが生き残りのキーポイントになるのではと思います 」
白山工業が手掛ける公共向けエクステリアには、次のようなビジネス上の特徴がある。
まずは、製品としての難しさだ。戸建て住宅向けの製品であれば、規格に合った量産品が豊富にある。しかし、公共向けでは寸法など特注品となる。カーブや傾斜に合わせて、ちょっと曲げるといった加工を施す場合も多い。それに、強度が求められるため、材料も肉厚になり、加工にも手間がかかってしまうのだ。
次は、価格の難しさである。建材は、最終顧客との間に何社も入る。材料や条件が決まっているなか、どうしてもコストを抑える必要がある。
最後は、スケジュールの難しさだ。自治体向けの製品など、年度末に発注が集中してしまう。取り付けも工期の最後に集中するため、どうしてもスケジュールのしわ寄せが来てしまうのだ。
「その結果、繁閑の差がすごく大きかったんですね。一昔前までは、1月から3月までが年間の約半分の売上になっており、作業量も平常月の2~3倍でした。
そうすると人的な負荷も大きくて。閑散期を考慮すると過度な人員追加はできないので、繁忙期には社員にたくさん残業をしてもらうことになります。5年以上前ですが、ひどい時には夜中の2時・3時まで残業し、さらに休日出勤も続いて3か月で2日しか休みがないなんてこともあったんです。
しかし、それでは人材確保も難しいのが実情です。製造業の中小企業は、決して人気の職種ではありませんから。そこで、企業として生き残っていくために、さまざまな改善を行ってきました。その結果、年度末の日当たり残業時間は平均約2時間まで抑えられました。また売上比率も以前は大手顧客が90%以上を占めましたが、現在は約65%まで落とし、1-3月の売り上げも平常月の1.5倍程度まで落とすことができました。」(澤田氏)
参考:白山工業のアピールポイント
白山工業では、展示会出展やマッチングサイトを活用しながら、強みであるアルミ加工技術をアピールする機会を増やしている。東京ビッグサイトで開催される展示会「産業交流展」には、毎年のように出展して、新たな顧客とのビジネスを広げてきた。
2018年には、アルミフロートパネルを用いたベンチ/自在変形SHELFを出展した。軽量で高い剛性を持ちながら、「折り曲げ」「各種化粧板仕上げ」「防音加工」「簡易施工」など、さまざまな利用が可能な特徴をアピールした。
アナログな在庫管理のシステム化にチャレンジ
ビジネスの最適化や業務の改善を進めて、新たな顧客とのビジネスを広げる中で、新しい課題も浮かび上がってきた。たとえば、取引先が増えたことで、受注管理や生産管理の手間も増えてしまうといった具合だ。
そこで手を付けることにしたのが、アナログな在庫管理のシステム化であった。
白山工業では、これまで部品在庫の管理を、紙の入出庫伝票とエクセルで2重に管理していた。部品置き場では紙の入出庫伝票に記録し、事務所ではエクセルを入力する。そのために、2つの情報を一致させる手間がかかり、倉庫と事務所で何度もやり取りが必要になってしまう。また、2つの記録が一致しているか、担当者たちが常に気を付けなければならなかった。
「在庫管理の専用パッケージも検討しました。その守備範囲では、機能も充実して安定していますが、そこから広がりがありません。ここを変えたいと思うと、いっきに数百万円かかってしまいます。それでは中小企業は手が出せません」(澤田氏)
さらに、他の業務との連携性・拡張性が弱いため、業務ごとにツールを入れては、やはり2重管理になりかねない。ITの専門スタッフもいないため、システム管理に手間をかけられないという課題もあった。
エンタープライズBaaS「Hexabase」を採用
そこで、白山工業が選んだのが、エンタープライズBaaS「Hexabase」を活用した在庫管理・発注支援システムである。クラウド型データベースに在庫管理を集約して、事務所でもモバイルでも操作できる。在庫が発注点を下回れば、自動的に発注処理を行って、スタッフは最小限の確認で部品を補充できる。
Hexabaseを使えば、クラウド型の業務システムを低コストで構築できる。そのために、システム管理に手間をかけずに済むし、利用規模に合わせて拡大でき、いろいろな業務に適用できるのだ。
「Hexabaseの決め手は、柔軟性があって、包括的に課題を解決できそうなところでした。クラウド型なので価格も手ごろです。また、Hexabase社は、今後の発展性を含めて相談にのってくれました。他社サービスも含めて解決策を提案してくれましたし、営業やシステムエンジニアの皆さんも、いっしょになって課題の解決に取り組んでくれました」(澤田氏)
茨城の第2工場でスモールスタート
白山工業では、このHexabaseによる在庫管理システムを、まず茨城の第2工場でスモールスタートさせる予定だ。
こちらは、製造部門だけがあり、作業指示や配車手配などの事務的な作業を本社側で行っていた。在庫管理も、第2工場側では紙の入出庫伝票を使い、本社側でエクセルによる入出庫管理を行っていた。在庫が足らなくなったら、手作業で発注伝票を用意して、該当のメーカーにメールやFAXで発注していた。
今後は、ネット上のクラウドデータベースに集約して共有する。そうすれば、スマートフォンのQRコード読み取りで入出庫して、数量が足りなくなったら、自動的に本社側に発注依頼が来る。あとは数量を確認するだけで、メール・FAXによる発注が送信できる。
1日2時間の工数削減を期待
白山工業では、まず在庫管理のシステム化で、1日2時間の工数削減を期待している。入出荷管理や発注作業を大幅に削減でき、2つの記録が一致するよう気を配る必要もない。あとは、部品メーカーとの価格交渉や納期の確認などの作業が残るが、発注状況も在庫管理システムで共有しているので、現場でも事務所でも状況を確認できるようになる。
今後の取り組み
「今回は、在庫管理からスモールスタートしていますが、今後3-5年をかけて、基幹業務を順次システム化して効率化を図っていくつもりです。受注管理、見積り管理、顧客管理、生産管理など、システム化が必要なところはたくさんあります。たとえば、発注とからめて会計管理と連携して、タイムリーに財務状況を把握していきたいと考えています」
エンタープライズBaaS「Hexabase」は、柔軟なシステム化が可能で、利用量に合わせてコストを負担すればいいので、最適な利用方法と言えるだろう。
「それに、基幹システムの整備が終わったとしても、それで当社の改革は終わりじゃないと思っています。これからも、お客様の形態や時代のニーズに合わせて、改善していく必要があるでしょう。
私どもは小さな会社ですが、取引先は大きい会社なので、このような生産拠点を各エリアに整備できればと思っています。その時にHexalinkによるシステムだけ導入すれば、在庫管理や生産管理などの業務インフラを提供するだけで、拠点整備を格段に進めやすくなります」
最後に、澤田氏が今後のビジョンを語ってくれた。
「社員を100人規模にしたい、売り上げを2・3倍に増やしたいとは考えていません。まずはコツコツと業務改善や新規営業を重ねて長期的な利益体質を確保し、設備投資や従業員への還元を充実していこうと考えています。
町工場は3Kじゃありませんがやはりイメージが良くなくて、人材確保は年々難しくなってきています。働き方改革や顧客ニーズなど、この先私たちのような小規模な町工場にもIT化を求められていく時代になると思います。
柔軟な対応ができるHexabaseはとても心強く、自社の成長に合わせて一緒に成長してくれるシステムをパートナーにして、これからも事業革新をしていきたいと思います。そうやって新しい取り組みを継続して進めて、町工場もスマートでカッコイイというイメージを作っていけるよう頑張ってまいります」(澤田氏)