COLUMN
コラム
2020年08月12日
低コストで使いたいだけ利用できる、小さな組織の味方:今さらだけど知っておきたい、なぜクラウドを使うのか – その2
カテゴリー:ソリューション
タグ:クラウドサービス, システム運用
劇的な進化が続くIT(情報技術)では、クラウドの活用が当たり前になっています。企業のITシステムでも利用が広がっています。でも、クラウドとは実際のところ、何なのでしょうか。そこで前回は、クラウドのカギとなるエミュレータについて解説しました。今回は、クラウドのメリットをあらためて、わかりやすく解説します。
これまでのIT環境の姿
ここで、これまでのIT環境の姿を振り返ってみましょう。
物理サーバーであれば、購入したり設置するだけで数日から数週間かかります。コスト面でも、最小で1台5万円くらい。資産として5年償却する必要がありますが、1年後には、もっと性能の高い機種が出てしまい、せっかく購入したサーバーは陳腐化する可能性があります。
システム運用の面では、システム担当者による多くの作業が必要になります。OSやソフトウェアのアップデートも、継続して行わなければなりませんし。信頼性を確保するためには、無停電装置などを設置する費用も必要です。
それに、業務に合わせてサーバーを増強したいと思っても、また調達に数日かかりますし、どこからでも利用できるようにするには、アクセスするための設備を別途用意しなければなりません。
最近は、人材の確保が大きな課題になっていますから、このようなIT環境を自社で用意するのも大変です。
使いたい時に使いたいだけ利用できるクラウドサービス
そこで、使われているのが「クラウドサービス」です。クラウドは、コンピュータの宅配サービスとして、使いたい時に使いたいだけ低コストで利用できるサービスです。最新のゲーム機でバーチャルコンソールを使って昔のゲームが遊べるように、バーチャルなサーバーをインターネット経由で呼び出して、すぐに利用できます。
主なクラウドサービスに、「AWS」(Amazon Web Services)、マイクロソフトの「Azure」、「Google Cloud」があります。GmailやGoogleカレンダーは、このGoogle Cloudの一部です。
クラウドには、次のようなメリットがあります。
まず導入面では、導入期間を圧倒的に短縮できます。ほんの数秒でバーチャルなサーバーを起動できるのです。そして、その価格も大幅に安くなっています。AWSの場合、最小構成のバーチャルサーバーなら12ヶ月無料で、それ以降は1時間あたり0.0068US$(1ドル100円として0.6円)。1年間なら5256円です※。
このくらい手軽に利用できると、普段は最小限のシステム構成にして、アクセスや処理が増えてきたときだけ、コンピュータの増強が可能になります。不要になれば、そのバーチャルなサーバーを簡単に破棄できます。もちろん、インターネット経由で、どこからでも利用できます。
システム運用面でも、多くのメリットがあります。運用業務を削減し、運用コストを押さえることができます。また、信頼性も向上できますし、高いセキュリティを確保できます。さらに、購入したサーバーの陳腐化を避けられます。数年に一度、機器を入れ替えなくても、クラウドサービス側が必要な機器を調達して、故障する前に交換してくれます。
※価格は変動する可能性があります。AWSの利用料は、これまで何度か値下げされてきましたが、それでも低価格です。
クラウドの種類
じつは、クラウドサービスには、次のようにいくつかの種類があります。結構、ややこしいですね。
「IaaS」は、イアースとかアイアースと呼びます。Infrastructure as a Service(インフラストラクチャ アズ ア サービス)の略で、ネットワークやサーバーなど、仮想化されたハードウェアだけを提供するクラウドサービスです。OSやミドルウェアは自分たちで提供します。実行するアプリケーションは、自分たちで開発するか、一般的なパッケージアプリケーションを導入することになります。すでにアプリケーションを持っていて、それをクラウド上でも動作させられなら、これが簡単ですね。でも、クラウド用になっていないと、改修したり再購入が必要になります。
「PaaS」は、パースと読みます。Platform as a Service(プラットフォーム アズ ア サービス)の略で、アプリケーションをクラウド上で開発するツールと実行環境を提供します。新しくクラウド用システムを開発する場合には便利ですね。でも、エンジニアを確保する必要がありますし、開発コストもかかります。
「SaaS」は、サースと読みます。Software as a Service(ソフトウェア アズ ア サービス)の略で、完成したアプリケーションをクラウドサービスとして提供します。
前回紹介したGmailやLINEなどのアプリケーションは、このSaaSに分類できます。そのために、ユーザーが増えたりアクセスが集中しても、サービスを中断することなく処理能力を増強したり、機能を強化することができるんです。
クラウドを利用すれば、自社で用意するIT環境とは、まったく違った世界が広がっています。それでは、小さな組織で、これをどのように活用するか、次回の記事で見ていきましょう。
参考資料
- カテゴリー
- タグ
- システム運用 (16)
- TypeScript (1)
- WebAssembly (2)
- ウォーターフォール開発 (2)
- 業務システム (28)
- CSS (2)
- GraphQL (1)
- プログラミング (31)
- スタートアップ (11)
- Nexaweb (1)
- BaaS (10)
- データベース (5)
- SPA (2)
- 基本用語 (26)
- Case study (5)
- Keyword (10)
- FaaS (1)
- システム開発 (69)
- スクラム (1)
- フロントエンド (38)
- AI (26)
- アジャイル開発 (18)
- Supabase (1)
- イノベーション (5)
- Database (2)
- 月額制 (1)
- PaaS (3)
- ACF (1)
- BookReview (3)
- サービス開発 (5)
- React (3)
- Firebase (1)
- クラウドサービス (12)
- low-code (2)
- バックエンド (8)
- ナレッジマネジメント (1)
- ChatGPT (1)
- Vue.js (2)
- Tailwind CSS (1)
- DBaas (2)
- プロジェクト管理 (13)
- セミナー (2)
- Web (21)
- 失敗事例 (2)
- Hexabase_health (1)
- 生成AI (7)
- 受託開発 (1)
- Kubernetes (3)
- WebComponents (1)
- 通知 (1)
- API (6)
- Next.js (1)
- フレームワーク (3)
- ローコード開発 (4)
- ノーコード開発 (1)
- JavaScript (2)
- Hexabase (12)
- LLM (3)
- 画像生成 (1)
- DX (34)