2023年02月25日

ペルソナ設計の進め方 – 事業開発やマーケティングに活用するために必要なこと

カテゴリー:ビジネス, 新規事業開発

タグ:DX, スタートアップ, 基本用語

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近年のビジネスでは、顧客体験価値の向上が重要視されるようになりました。顧客体験価値を高めるために、デザイン思考の考え方を取り入れ、ペルソナを定義しカスタマージャーニーマップを作成する取り組みを進めている企業も増えています。

顧客のニーズや課題をより深くイメージするためには、深いペルソナ設計が必要です。この記事では、ペルソナ設計の進め方やポイントについて解説します。

1. なぜペルソナを設計する必要があるのか

現代的なマーケティングを実施する上では、ペルソナの設定は必須といえます。なぜペルソナ設計を行い、ペルソナを定義する必要があるのでしょうか。

ペルソナ設計とは何か

ペルソナとは、自社のプロダクトがターゲットとする顧客の特徴を詳しく定義した顧客像のことです。

ペルソナを定義する作業のことをペルソナ設計といいます。ペルソナ設計では、氏名、年齢、家族構成といったいわゆるデモグラフィック情報に加え、価値観やライフスタイルなどのサイコグラフィック情報までを定義し、詳細な顧客像を作り上げます。

この際、できるだけ詳細にペルソナを定義することが重要となります。そのために、次のような具体的なキャラクターを設定します。ここでは、AIによる求人マッチングサービスを利用する典型的なユーザー像を設定しています。

ペルソナ設計の効果

ペルソナ設計を行い、ペルソナを定義することで、以下のような効果を得ることができます。

  • ユーザーニーズや課題をイメージしやすくなる
    ペルソナを定義することで「この人はこの場面でどのような感情を抱くか」といった具体的なイメージがしやすくなります。プロダクト利用時の感情や反応を想定する上で、詳細化されたペルソナが有効です。
  • チーム内で認識を共有化できる
    メンバー間でペルソナの認識が異なると、一貫した施策の実施が難しくなります。プロダクト開発やマーケティングなどの各役割において、共通認識を持つためにペルソナの定義が必要となります。

2. ペルソナ設計の進め方

以下では、ペルソナ設計の進め方について解説します。

情報収集

ペルソナを想像だけで作るのは避けるべきです。ユーザーインタビューやアンケートなどを実施し、情報を収集します。

既存顧客が存在する場合は、年齢・性別・居住地などの情報は既存の顧客データベースなどから収集できます。可能であれば、追加でアンケートを実施するなどしてライフスタイルなどのサイコグラフィック情報も収集するとよいでしょう。一方で、新規サービスを開発する場合は、想定ターゲット層に対してサンプリングなどで詳細な調査を行います。
いずれの場合も、代表的な顧客に対してヒアリングを実施するなど、できるだけ詳細な情報を吸い上げられる調査手法を採用するとよいでしょう。

より詳しくかつ実際に近い情報を吸い上げる方法として、エスノグラフィー調査が挙げられます。エスノグラフィー調査では、実際に想定ターゲットの生活に参加することで調査を行います。調査コストはかかるものの、人となりや価値観、物事の判断基準などを含めて情報を吸い上げることができるため、検討する価値があります。

ペルソナのアウトライン作成

情報収集結果に基づき、ペルソナの骨格を作ります。

調査結果を整理し、共通情報を抽出していきます。たとえば、年齢や収入、居住地などは共通的な特徴として整理しやすいといえます。また、想定ターゲットに対する調査の結果、利用する競合製品や趣味・趣向などに共通的な要素がみられる場合は、これらも取り上げていきます。

この作業を通して、代表的な自社の想定ターゲット層と一致するペルソナを作り上げていきます。

ペルソナの詳細化

ペルソナの詳細な情報を付与していくことで、よりイメージしやすいペルソナを作り上げることができます。

たとえば、顔写真や名前、好きな雑誌や趣味などを定義していきます。このような情報も、想像だけで作るのではなく、作成したペルソナの骨格からイメージできる内容としたり、収集した情報を参考にしたりすることで、できるだけ現実的なものとすることがポイントです。

顔写真や名前などは必要性を感じにくい要素かもしれませんが、このような情報をペルソナに付与することで、ペルソナの行動や選択肢が与えられた時の判断、感情などがイメージしやすくなります。ぜひ実施してみてください。

ペルソナの活用と見直し

ペルソナを設計することで、様々な施策に利用することができます。
たとえば、デザイン思考のプロセスにおいてペルソナに基づきカスタマージャーニーを設計し、ペインポイントの洗い出しを行うことに利用することもできます。また、プロダクトのキャッチコピーを検討する上で「ペルソナに刺さるか」という観点で検討を行うなど、幅広く活用が可能です。

設計したペルソナは定期的に見直していくべきです。社会の潮流や自社プロダクトのターゲット層の変化など、現代においては速いスピードで変化が進んでいきます。最新の状況に合わせて適宜ペルソナを再設計していきます。

3. ペルソナ設計のポイント

以下では、ペルソナ設計のポイントについて解説します。

必要に応じて複数のペルソナを設計する

自社の想定ターゲット層が多岐にわたる場合、必ずしもペルソナを一人に限定する必要はありません。複数のペルソナを設定することで、より幅広いターゲット層をカバーすることもできます。もちろん、安易にペルソナを増してしまうと自社のターゲットイメージが分散してしまい適切な施策につながらないため注意が必要です。
また、B to Bの場合は担当者と決裁者が異なっているようなケースも想定されます。この場合、それぞれのペルソナを設計することで、より具体的な意思決定プロセスをイメージしやすくなるでしょう。

抱く感情や意思決定をイメージしやすいペルソナとする

ペルソナを作る価値のひとつに、各場面においてペルソナがどのような感情を抱き、どのような判断をするかをイメージしやすくするという観点があります。

実際にカスタマージャーニーを作成する際などには、ペルソナがどのように動くかを想像して分析する必要があります。たとえば、SNSで商品の情報を見たペルソナがどのような感情を抱き、どのように判断するのかをイメージしやすいように、ペルソナを設計するとよいでしょう。

一例として、ペルソナはどのようなコミュニティに所属しているのか、どのように周りから見られたいと思っているのか、ペルソナの可処分時間はどの程度であり意思決定にどれくらい時間をかけられるのかなどを整理しておくと、具体的な行動がイメージしやすくなります。

まとめ

この記事では、現代のビジネスにおいて重要視されているペルソナについて、その設計方法や設計時のポイントについて解説を行いました。ペルソナ設計にあたっては、事前の調査が最大のポイントといえます。できるだけ実態に近い形でペルソナを定義するために、自社データの分析や想定ターゲットへの調査が重要といえるでしょう。

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